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Countach 25th anniversary

「何だコレは!」からはじまった伝説。憧れのスーパーカー・カウンタックとは?

2024年7月16日、&OWNERSはミウラP400とカウンタック25thアニバーサリーの2台のランボルギーニコレクションを発表しました。本記事ではそのうちの1台、「カウンタック」についてご紹介します。

伝説であり救世主。カウンタックとは?

カウンタック(Countach)とは、ミウラのデザインも手掛けたカーデザイナーの巨匠マルチェロ・ガンディーニとチーフ・エンジニアだったパオロ・スタンツァーニの設計から生まれた、ランボルギーニ史上伝説のモデルの一つです。

1971年3月、スイスで開催されたジュネーブ・モーターショーで、後のカウンタックと呼ばれるプロトタイプ「LP500」を発表。その後、市販モデルの「LP400」「LP400S」「5000S」「5000QV」に続き、ランボルギーニ創立25周年記念モデルである「25thアニバーサリー」、さらにはカウンタックデビュー50周年記念モデルの「LPI800-4」と、幾度と改良が重ねられました。その販売期間は16年。市販モデルを販売した1974年から90年に渡って生産され、1980年代に経済的苦境に立たされたランボルギーニを救ったロングセラーモデルです。

再現された「LP500」。Rétromobile 2022にて撮影(画像:Y.Leclercq© from Wikipedia Commonsより)

また、松田優作主演の映画『蘇る金狼』(1971年)やカーアクション映画『キャノンボール』(1981年)などのスクリーンにも登場。70年代の日本で巻き起こったスーパーカーブームも後押しし、日本での知名度も高く誇る自動車です。

「何だコレは!」がなまえの由来

カウンタックという名前は、他のランボルギーニの闘牛や牧場の名前に由来したモデルとは違い、イタリア・ピエモンテ州の方言の「Coon-tach(クンタッチ)」という、「ワオ!」や「素晴らしい!」といった驚きと感嘆を表す一言に由来しています。

当時プロトタイプの製造作業に追われていた時に、ランボルギーニとベルトーネ(トリノに拠点を置く自動車関連企業)の両社間でストライキが勃発。製造拠点をベルトーネ本社近郊の納屋に移して作業を再開したところ、近所に住む農夫が納屋にあったプロトタイプを見て発した一言が「クンタッチ」だったところから名付けられました。このエピソードからも、誰もが驚いてしまうほどの最先端かつ美しさを兼ね備えた車だったことがわかります。

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カウンタック25thアニバーサリーに埋め込まれたベルトーネのエンブレム(撮影:AND OWNERS)

独創性と洗練さを兼ね備えたデザイン

プロトタイプ「LP500」にもある「LP」とは、イタリア語の「Longitudinale Posteriore」(ロンジトゥディナーレ・ポステリオーレ)」の略で、縦置きミッドシップのエンジンレイアウトを意味します。LP500では4,971ccのV12エンジンが搭載され、出力は440馬力となりました。しかし、当時主要マーケットであったアメリカで新しく導入された公害防止規制のため、このプロトタイプは工業化の段階でお蔵入りに。結果として、エンジンにはミウラと同じV12エンジンの3,929ccを、ギアボックスとともに縦置きでコックピットに置かれることになりました。

パワーはドライブシャフトからリアホイールに出力され、クランクシャフト下にあるエンジンブロック内にカービングされたトンネルを通してディッファレンシャルに伝達されます。エンジンの改良に伴い、車名も「LP500」から「LP400」(3桁の数字は公称排気量のこと)へと変更されました。このエンジンとギアボックスのレイアウトにより、重心の高さは犠牲となったものの、代わりに重量が車両の中心部へと集約され、今までにない最大限のハンドリングを手に入れることが可能となりました。

カウンタックのノーズからテールパネルまで途切れのない一本の曲線でデザインされた、その優美な楔型のボディラインの先駆けとされるのが、1968年製の「アルファロメオ・カラボ」のコンセプトカーです。同車もガンディーニがデザインを手掛けていたことから、カウンタックはスーパーカーの歴史を追随するモデルともいえるでしょう。

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1968年製アルファロメオ・カラボのコンセプトカー(画像:edvvc from Wikipedia Commons

美しいドア、アルファベット3文字でなんという?

2mに及ぶワイドな車幅と1.07mという低い車高、縦になびくカーブライン、エアロダイナミックなデザイン、リアのライティングの組み方や六角形のドアの形状など、随所に職人技が光ります。なかでも最も特徴的なのが、フロントに取り付けられた上下開閉式のドア。まるで昆虫の翅を彷彿させるこのデザインは、アルファロメオ・カラボの名前の由来となった「Carabo」(イタリア語でオサムシという昆虫を指す)から引き継がれたもの。その独創性からアルファベットの頭文字を取って「LSD」(ランボルギーニ・スタイル・ドア)とも称されるデザインは、そのデザイン性だけでなく狭い駐車スペースでも楽に出入りができるという機能性も併せ持っています。

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カウンタック25thアニバーサリー(撮影:AND OWNERS)

ボディの奇跡的な形状は、チューブラーフレームにアルミパネルを貼り付けることによって成り立っています。膨大な費用がかかるものの、この手法のおかげで軽量でありながら頑丈なフレームを生み出すことが可能となりました。ボディ下部はファイバーグラス製で、ヘッドライトは開閉式でデザインされています。

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25thアニバーサリーの開閉式ヘッドライト(撮影:AND OWNERS)

飽くなき進化を追い求めた「究極」25thアニバーサリー

「究極のカウンタック」と称されるモデルが1988年に登場した「25thアニバーサリー」です。このモデルは限定台数のみの販売ながら、カウンタックの中でも最多の667台の売り上げを記録。1990年に満を持して登場した「ディアブロ」にその座を譲るまで、カウンタックの中でもベストセラーとなりました。

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カウンタック25thアニバーサリー(撮影:AND OWNERS)
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サイドシルに施された「25」のマーク(撮影:AND OWNERS)

25thアニバーサリーは記念モデルでありながらも、”新しい”カウンタックとして改良が施されました。ただし、新たな規定に抵触することを避けるため、製造自体は排気量を5,167 ccまで拡大し、それまでのV12エンジンをさらに進化させた1985年のモデル「LP5000 QV」(QV=クアトロバルボーレの略。4バルブ化されたエンジンのこと)を踏襲して行われました。フロントスポイラーとバンパーはデザインを変更し、フロントブレーキ用の冷却ベントを追加。シルには1988年クアトロバルボーレ後期モデルで既に見られたようなリアブレーキ用の冷却ストリークが取り付けられました。リアウィングのスクープのデザインはさらに肩部分に組み込まれる形になり、新しくフードが付いたエンジンを冷やすにもより効果的になりました。

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カウンタック25thアニバーサリー(撮影:AND OWNERS)
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カウンタック25thアニバーサリー(撮影:AND OWNERS)

新しいパネルとフロントリッドのほとんどは、「エヴォルツィオーネ」(カウンタックの後継車の複数の技術をテストするために、1987年に製造されたプロトタイプ車)に使用された複合材料で作られています。リアライトはアメリカ仕様のクアトロバルボーレと同型となり、リアバンパーもボディに組み込まれました。さらには、黒い巨大なフロントバンパーも取り除かれることになりましたが、アメリカ仕様車には引き続き車両と同色の塗装が施される形で踏襲されています。

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カウンタック25thアニバーサリー(撮影:AND OWNERS)
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リアに埋め込まれたランボルギーニのエンブレム(撮影:AND OWNERS)

スペースフレームはそのまま継承されましたが、P7Rに代わってマルチピースのOZホイールには新しいピレリのタイヤ「P Zero」が装着され、サスペンションにも若干の変更が加えられました。チャンピオンレーシング・ドライバーであるサンドロ・ムナーリの指導のもと行われたこれらの改良は、25thアニバーサリーをより安定かつ安全なものとし、従来のカウンタックとはまったく異なる車へと進化しました。

インテリアもシートはより幅広に、背もたれとともに電動調節機能が搭載され、ドアのデザインも変更。さらにサイドウィンドウは電動式化されエアコンも標準装備に。こういった様々な改良を加えることによって、25thアニバーサリーは最終進化を遂げたのです。

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カウンタック25thアニバーサリー(撮影:AND OWNERS)

経年変化も魅力のひとつ

AND OWNERSが取り扱う25thアニバーサリーは1989年に誕生。希少価値と優秀さを兼ね備えた血統付きのモデルとして自動車史にも名を連ねています。本車両は200から400kmほどで日本へと輸入されたもので、オドメーターが示す走行距離はわずか約3,400km。この走行距離はベストなコンディションを保つために最適な距離のみを重ねたものとなっています。

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カウンタック25thアニバーサリー(撮影:AND OWNERS)

他に類を見ないほど優れたコンディションももちろんですが、本車両において一番の特徴は「プリザーベーション」であること。プリザーベーションとは、レストア(元の状態に戻すこと)に対し、当時の姿を保ったままのオリジナルの状態ということです。近年、プリザーベーションはファンの間でも注目のジャンルで、カリフォルニアで開催されるペブルビーチ・コンクール・デレガンス(世界各国の著名コレクターが愛車を持ち込み、コンディションや正統さを競い合う完全招待制のコンクール)でも特集されています。

艶やかな光沢を放つ塗装は、塗り直した箇所がなくもちろん当時のまま。同じく内装も手を加えられたところがなく、タイヤまでもが工場出荷時からオリジナルです。経年変化が残されたままの姿には、レストアされた個体にはないスーパーカーファンも垂涎の味があり、芸術性の象徴として、また夢を現実化したシンボルとしてその存在感を発揮しています。


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文:AND ONWERS編集部